◇◆砂糖と塩◆◇
日が砂の中に落ちていく。
「カナック、起なさい。」
私はさっき拾ったカナックに呼びかける。
「…だ、れ?」
カナックは人語を理解し話すことが出来る数少ない崇高な生物だ。
そのため、密売しているやつらがいる。
「私は杏奈。あなた、死にかけていたのよ?」
あの時のカナックの姿を思い出すと死んだ姉を見ているようで胸が痛い。
「ありがと…あ、杏奈さん。」
「さん付けしなくていいから。」
私はカナックを見つめる。
「僕はヤラ。よろしく、杏奈!」
ヤラは目を細めて笑った。
私は着ていた長い上着を脱ぎ、足にかけた。
すると、ヤラは私の髪をじっと見つめる。
「杏奈の髪…長い赤毛なんだ。珍しい。しかも…その服は他の砂漠の民族衣装?」
「ああ。この服は旅先の人に貰ったの。」
私は気付かないうちに、微笑んでいたかもしれない。
ーもうすぐ、夜が始まるー
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
続く